あひるの空という漫画。父性とは。

田口ランディさんの本に「できればムカつかずに生きたい」というものがある。

その中に、日本社会では母性が特に重要視され、父性が軽視されがちであると書かれていた。母性とはドラえもん。全てを許す。父性は間違いを正す、叱る。最近は父性に触れることがないため、子ども達は怒られると慣れない父性に戸惑いキレてしまうとのことだった。

分かる気もする。

 

あひるの空という漫画がある。マガジンで週刊連載しているバスケ漫画だ。自分はスポーツ漫画をほとんど読まない。スポーツ自体にあまり興味がないからだ。友人2人から強く勧められたため読み始め、とても面白いと思い今に至る。

私がこの漫画のどういった点を好いているかというと、アツイ点である。問題に直面し、現状が理想と異なったとき、根性と努力と対策で乗り切る点にある。そしてこれは私のコンプレックスに基づくものだと解釈している。

私自身は根性論が大嫌いだ。ナンセンスだと思っている。ペンギンは空を飛べない。どんなに願っても太陽を沈めるのは無理、死んだ人も生き返らない。どうにもならんという事がこの世界にはあふれかえっている。「頑張ればなんとかなる」と言ってくれるな、お前がボロ雑巾になってなおその台詞を吐け。と思う人間である。

が、ある程度の事は努力と対策でなんとかなる。しんどい思いをすれば解決することが多々あるのは事実だ。怠慢心から逃げたことを悔やむこともよくある。自分に根性があれば、という日頃自分がナンセンスだと思う理屈を自分の失敗とやらに当てはめることもある。

この漫画のキャラクターたちは果敢に困難に対処する。限界はこんなもんじゃないと頑張る。頑張るのだ。

 

まあ、自分は頑張るという単語に少しアレルギーというか、警戒心や嫌悪感を持っている。自分でもすっきりしていない感情だ。その点がこの漫画では強く描かれている。私はあひるの空という漫画が好きである。