腕時計の話

何事も続けることそのものに大きな価値がある。やっていれば分かるようになること、というのが存在するのだ。

 

小学生のころまで腕時計はとても好きだった。そもそも自分は小物にこだわるのがとても好きで、文房具等もこだわりの対象だった。

思えば、中学生になって、自分が周りと少し変わっているように感じ、周りに合わせる努力が必要なこと、自分のやりたいようにはやらない、不必要に目立たないようにする、そういう方向に努力するようになった。だからすっかり忘れていたのだけど、自分で給料をもらうようになって、自分の自由に使用して良いお金の額が増えて、久しぶりにあの純度の高い興奮を感じている。付けもしないのに懐中時計やサイズの大きな腕時計を欲しがった。欲しかったのだ。

 

社会人になって、就職祝いと称して先輩から腕時計を頂いた。よもやそんなイベントがあるなんて想像もしておらず、驚きの中感謝の言葉を述べた記憶がある。ベルトが金属のシンプルなものだ。厚みがそれなりにあり、結構ごつい男物な感じがする。プライベートでも仕事でも使える様なものだ。

 

久しぶりに腕時計コーナーをうろついて眺めて、久しぶりの興奮を感じた。Brathwaitというメーカーの時計がかっこいい。そしてskagenの薄い時計もかっこいい。

昔は時計単体でかっこいいものを見ていた。今はそれを付けている自分と、実際に使うかどうか、を想像したりする。

今新しい時計を買うと、先輩から頂いた時計をはめなくなってしまう気がする。仕事場には持っていけないようなデザインのものを買えばいいだろうか。しかしシンプルなものが欲しいから、多分持って行けちゃうと思うんだよな。