写真について

「写真を撮ると、写真に写っているものしか思い出せなくなることもあるからね」

「つなげると動画になるくらいたくさん写真をとります」

「溜まってる写真が、ストックがいっぱいあるからさ」

毎日毎日、過去の写真をアップし続ける。

 

私は写真は思い出すきっかけとして欲しいタイプだ。もしくは見返して現在の励ましか慰めになるもの。旅に出かけた時の写真はいつも課題だ。写真がないと思い出すこともできないが大切なものがいくつかあるからだ。それのためだけに写真はある。無くても思い出せるものは撮らなくてもいい。でも一番撮りたいのはなくても思い出せるものを、さらに手伝ってくれる写真かもしれない。

写真は何のために撮るのか、人に見せることもある。自分を演出したいからか、それとも。

 

エッセンシャル。ミニマリスト。人生で今、意識的に抱えていられるものは意外と少ない。無意識なものは、雪の様に知らぬ間に積もっていくけれど、それさえ無意識に都合のよいものだけを残して、掃き掃除してしまう。

幸せなものだけ残せばいいのに、不幸なものをわざわざ残したりする。癖と言えば癖なのだが、不幸でいることが都合がいいなんて、なんだか悔しい。

 

幸せなイベントこそ細かく書いて思い起こして記録すべきだ。今のこの状況がどれほどの偶然と縁の上に成り立っているのか。思い通りにしたものとそうならなかったものが今を成している。その自分にどうしようもできない、雄大な自然を見た時のような心地よい無能感。それに身を委ねて。五感をスパークさせて、あらん限りの言葉で抽出して。

 

また一つ年を重ねた。かつての彼らの年になったり、その大切な彼らはさらに年を重ねて。