人の寂しさに気が付けなくなるくらいなら、俺は寂しいままでいい

ネガティブな事は基本口には出さない。悪口とか愚痴とか。まあそれは当たり前のことだ。言えば気分も引きずられるし、相手もわざわざ聞きたくなどない。しかし、だからと言って解決可能な点もあるのにそれを放置するというのはただの怠慢だ。

ただ不平不満をいいながら考えが整理されてきて勝手に解決していくのはよくある話だ。信頼のおける友人が長々と心配事や相談話を寄せてくるのは別に不快じゃない。そうだよな、俺もそれで気を揉んだり病んだりした。俺もそれで悲しかった、寂しかった。そういう思いの共有は、問題の解決に繋がったパターンが多い。

前の恋人には、そういった話をしなかった。出来なかったのではない、しなかった。彼なら絶対話を聞いてくれたと思う。でも私はしなかった。なぜか?彼なら話を聞いてくれるだろう、というその信頼関係が、何より嬉しかったからだ。俺が悩んだり考えていることがどれほど彼の価値観に照らし合わせて頓珍漢でズレた事であっても、彼は話を聞いてくれるだろうし、彼の返事を返してくれると思う。そういう人物がいるということが、何より嬉しかった。感謝の念が堪えなかったし、感謝の思いは伝えてきたつもりだ。

今の恋人にはそれが話せない。彼はなんとなくいっぱいいっぱいで、とても話せそうにない。年齢とか、職業とか、関係ないんだなあと静かに思う。つまり、今度は俺が聞く番なんだろう。でも、プライドもあるし、俺の度量もあるし、彼が俺に話したいと思うかどうか、そもそもいっぱいいっぱいである自覚があるかどうかも怪しい。関係性が破綻するのが先である可能性が過半数とは思うが、ただ黙って余計な口を挟まず寄り添えたら良いなと思う。

ああ、神様、その為の辛抱強さを私に授けてください。こんな時ばかり神頼みではいかんね。部屋の片づけでもすることにしよう。