10月

 たとえ終わりが見えていても付き合いたいと思った。この人への気持ちは1年間ぐらいかもしれないと思っても今はどうしても独り占めしたいと思った。そういう気持ちで付き合ってみて、1年以上たって自分から終わらせたこともあるが、1年も経たぬ内に相手が嫌気をさして終わりになったパターンが3回、いやそれ以上?願わくばこのまま死ぬまで続いてくれないだろうか、でもどこかで終わるんだろうか、が今。

 結婚をして子どもを授かった同期。相手の家族との付き合い。自分がこの社会で縦にも横にもつながって行く感覚。他人からの評価よりも自分の人生をどう生きて行くかを考える思考に、子どもの将来の評価に響くのだろうかというブレーキ。夢をみる側から、夢を見せる側に移ったのかもしれないという気付き。

 勤務先が変わり、勤務地の最寄駅が変わった。とても住みやすい住宅街。駅前は非常に充実しているし、少し離れると静かな場所ならではの品のいいお店を散見する。まち行く人は働き盛りの若者から中年からまだ仕事をしていそうな60-70代まで。足取りがしっかりした人が多い。住みやすい。 「仕事は楽しいかね?」「お前は相変わらずお前の事で忙しそうだな」

 秋になって冬になる。台風が来て雨が降るたびに気温が下がる。付き合ってから1年が経つことを感じる。30歳が近づいて来るがもう少し時間があることを感じる。そして同じようなことを3年前にも感じたかもしれないとも。